オクタ / OKTA / 中立:最新の24年4Q決算分析と今後の株価見通し(Okta)

Ticker: OKTA / 3820文字 / 所要時間8分程度 / 中立

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サマリー

  • オクタ(OKTA)では、Auth0統合の問題、リーダーシップと企業文化の欠如、セキュリティ・インシデントの多発などにより、成長率の低下が続いている。
  • 10.5%という低い今後12カ月間の成長ガイダンスは、依然として高い株式ベースの報酬(SBC)比率と相まって、同社のバリュエーションを相対的に魅力のないものにしている。
  • 足元の株価の上昇と2023年10月のセキュリティ侵害に続く不確実性を考慮すると、同社株式に対しては短期的には様子見スタンスが良いように見える。

オクタの24年第4四半期決算の概要

・事前の売上高ガイダンスが前年同期比15%増の5億8500万ドルであったのに対し、前年同期比18.6%増の6億500万ドルの着地。

・事前のCurrent RPO(残存履行義務)ガイダンスが12%増の18億8,000万ドルであったのに対し、16%増の19億5,200万ドルの着地。

・Non-GAAPベースのEBITガイダンスが1億500万ドルで17.5%のマージンであったのに対し、1億2900万ドルと21%のマージンで着地(23年第4四半期の利益率は9%)。

・フリー・キャッシュフローは1億6,600万ドルで28%のマージンで着地(23年第4四半期のマージンは14%)。

成長とセキュリティ・インシデントを取り巻くドラマにもかかわらず、オクタ(OKTA)の経営陣は営業効率を上げるために本当に素晴らしい仕事をした。

そして、営業効率はレイオフやコスト削減によって達成されたものではなく、実質的な生産性向上によって達成されたものであり、これは23年度の従業員一人当たり売上高が30.8万ドルから24年度には38.3万ドルへ上昇したことに現れている。

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オクタの25年第1四半期のガイダンス

・売上高ガイダンスは前年同期比16.5%増の6億300万ドル。

・Current RPO(残存履行義務)成長率のガイダンスは13%。

同社は、Current RPOが今後12カ月間の売上高の正確な指標であることを投資家に定期的に説明していることを踏まえると、この内容は素晴らしいものとは言えない。

また、現在の売上高成長率を下回っているため、すぐに成長が再加速することを期待することは難しいだろう。

・Non-GAAPベースのEBITマージンのガイダンスは18%。

・フリー・キャッシュフロー・マージンのガイダンスは25%(人員削減による4%の非経常的影響を含む)。

25年度通期ガイダンス

・売上高は10.5%の25億ドル。

※この25年度のガイダンスは、24年第3四半期に公表された暫定ガイダンスから若干の上昇となる

・Non-GAAPベースのEBITマージンは18.5%。

・フリー・キャッシュフロー。マージンは21%。

オクタの24年第4四半期決算説明会の感想

オクタ(OKTA)の24年第4四半期決算説明会では、最高経営責任者(CEO)のMcKinnon氏はOkta Secure Identity Commitmentを紹介し、最近のセキュリティ侵害、特に2022年1月のSitel Group、2023年夏のソーシャルエンジニアリング、2023年10月の18,000以上の全顧客に影響を与えたインシデントに対処した。

また、セキュリティを強化するため、同社は2023年12月、元IDF Unit 8200(イスラエル国防軍最大の部隊)の工作員が設立したITDR(Identity Threat Detection and Response:アイデンティティ脅威検知と対応)企業であるSpera Securityを買収し、ID検出と対応能力を強化する戦略的な動きを示している。

1億ドル相当のこの買収は、特にIDベースの攻撃が増加している中で、サイバーセキュリティにおけるITDRの重要な役割をオクタが認識していることを反映している。

一方で、市場の投資家の間では、同社のフォレンジック能力に関して、足元の長期間にわたるセキュリティ侵害に関する調査を踏まえ、懸念が生じている。

さらに、社内では、セキュリティ侵害後のセキュリティ対策の強化が従業員の生産性にマイナスの影響を与えているとも報告されている。

このような課題にもかかわらず、同社は投資家とのコミュニケーションで業務効率とコストの慎重さを強調し、成長が減速する中で投資家の信頼を維持することを目指している。

最高財務責任者(CFO)であるBrett Tighe氏は、24年第4四半期の業績は10月の情報漏えいの直接的な影響は受けていないが、将来的な影響は依然として不透明であると説明している。

一方で、特にクラウドファースト企業やマルチクラウド企業における同社の市場の優位性が強調され、最近の挫折にもかかわらず重要なアイデンティティ・アクセス管理(IAM)プロバイダーとしての地位が強調されていた。

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オクタに関するその他の見解

最近のGlassdoorのレビューによると、オクタ(OKTA)の企業文化は著しく低下しており、CXOやヴァイスプレジデントクラスの離職率が上昇し、営業担当者やエンジニアの不満が高まっているように見える。

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この変化は、企業が規模を拡大する際に直面する広範な課題を反映しており、しばしば官僚的な非効率性や一体感の希薄化をもたらしている。

また、同社のCustomer Identity Cloud(CIC)のGo-to-Market(GTM)戦略や、Workforce Identity Cloud(WIC)の競争激化に対する懸念も提起されている。

さらに、Auth0を買収して顧客ID分野での地位を強化したものの、統合と市場競争の課題は依然として残っており、この分野での同社の成長が鈍化する可能性も指摘されている。

このような課題に対する同社の対応策としては、コモディティ化が進むアイデンティティ・アクセス管理(IAM)分野にとどまらず、提供するサービスを多様化するため、アイデンティティ・ガバナンス&アドミニストレーション(IGA)と特権アクセス管理(PAM)に戦略的な重点を置いている。

しかし、こうした取り組みが顧客獲得や製品導入に与える影響はまだ不透明で、OIG(IGA製品)のような一部の製品は、その複雑さやカスタマイズの制限に対する批判に直面している。

こうしたハードルにもかかわらず、同社の業績はレジリエンスの兆しを見せており、売上総利益率が徐々に上昇していることから、クロスセルやアップセルの成功がうかがえる。

とはいえ、同社の営業・マーケティング活動は非効率はであり、運営経費を削減することで競争力と収益性を強化できる可能性があると見ている。

また、従業員からのフィードバックでは、経営陣と従業員との間の断絶が浮き彫りになっており、新任の中間管理職は対応力や商品知識が不足していると批判されている。

このような経営におけるギャップは、継続的なセキュリティの懸念と相まって、同社の新規顧客の獲得と既存顧客の維持の妨げになっているようである。

同社の戦略的買収や、Macを標的とするような新たなサイバーセキュリティの脅威への注力は、潜在的な成長手段を提供する一方で、これらの機会を十分に実現するためには、社内の文化的・経営的課題に対処する必要があると見ている。

オクタのバリュエーション

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オクタ(OKTA)のバリュエーションは、最近の急騰にもかかわらず株価が過度に割高ではない、微妙な構図を示している。

直近過去12カ月間の企業価値/売上総利益率のレシオは10.2倍で、予想される短期成長率は10.5%であるため、企業価値/売上総利益率/成長率(収益に対するPEGに相当する指標)は0.97となり、割安というよりは適正なバリュエーションであることを示唆している。

株式ベースの報酬(SBC)を考慮すると、同社の40%ルールの指標は、特に40%ルールの値が高く、類似または優れた成長予測を持つ同業他社と比較した場合、同社の株価が割高に評価されていることを示している。

現在の市場心理は慎重を期しており、同社が25年度の予測を大幅に上回らない限り、同社株に対しては様子見スタンスが良いように見える。

特に、同社の社内文化や経営陣に対する懸念が、将来の成長見通しに水を差す可能性があるためである。

当社の割引キャッシュフロー(DCF)分析では、この保守的なスタンスを支持し、成長が10%台半ばまで加速する基本ケースを予測しており、その際には同社株式の1株当たりの本質的価値(VPS)は98ドルとなり、現在の株価とほぼ一致する。

一方で、2027年度から2030年度までの年平均成長率を20%とする、より楽観的なシナリオでは、同社株式の一株当たり本質的価値は139ドルに上昇しるものの、現在の株価水準を踏まえると、投資対象としての魅力には欠けているようにも見える。

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まとめると、オクタ(OKTA)のバリュエーションは企業価値/売上高倍率が7~8倍前後で安定し、IGA、PAM、カスタマー・アイデンティティなどの新製品領域への拡大が小幅な利益率改善を支えているようである。

しかし、同社が魅力的な投資先となるには、足元の同社のバランスの取れた成長見通しと根本的な経営課題を考慮すると、現在の株価水準から30%程度の下落が必要だと考える。

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コンヴェクィティ
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