KLA / KLAC:半導体・AI関連成長株の最新の23年4Q決算分析と今後の株価見通し Part 2

Ticker: KLAC / 3558文字 / 所要時間8分程度

サマリー

  • KLACの2024年の見通しは、特に上半期に大幅な成長が見込まれず、下半期に望みを託すというもので、前回示したとおりの展開となっている。
  • LRCXの決算説明会では、株価の異常な上昇と予想以上に遅い回復が懸念材料として取り上げられている。
  • 決算説明会におけるアナリストのアルキュリ氏とCFOのヒギンズ氏の対話では、KLACのユニークな課題である12ヶ月を超える受注への対応が強調されている。
  • その中で、ASMLのような競合他社と比較して、不確実なプロジェクトコミットメントや高い受注変動による潜在的なリスクが示唆された。

今後のKLACの見通しについて

10月の時点で、KLA(KLAC)は2024年が少なくとも前半まではどのように展開するかをすでに描いており、そして今、まさにそれが起こっている。

実際の成長は見えず、下半期が上半期より良くなるという漠然とした希望があるだけである。

このような背景から、ラム・リサーチ(LRCX)の決算の際にお伝えしたのと同じ懸念、すなわち、「株価はこの1年で驚異的な上昇を遂げたが、回復のスピードは遅く予想よりも時間がかかっており、さらに、今後2四半期は、あまり良いニュースは期待できない」という点を改めて強調したい。

そして、決算説明会において、アナリストのティモシー・アルキュリ氏とCFOのブレン・ヒギンズ氏のやり取りは、下記のような流れで始まった。

「ブレン、私はブック・トゥ・ビル(販売額に対する受注額の割合)についてお伺いしたかったのです。それで、その指標は、5四半期連続で1を下回っています。実際には、少し上がっており、0.9まで上がっています。つまり、ある種の定常状態に達しているわけです。しかし、現在RPOに滞留しているものは、以前は4カ月から5カ月分の滞留期間があったため、以前バックログに滞留していたものとはかなり異なる動きをしているように見えます。」

「そして今、もし半分が12ヶ月以上に、半分が12ヶ月以内に滞留していると仮定するならば、つまり、以前とそれほど変わらないということだと思います。しかし、50億ドル以上の金額が12カ月を超えて滞留しており、これは以前にはなかったことです。では、COVID以前とCOVID以後を見て、何が変わったのでしょうか?なぜ、50億ドル相当のブッキングや RPOが12ヶ月以上滞留しているのでしょうか?リードタイムがそれほど長くなっているわけではないと思っております。リードタイムが長いことは理解しているが、常にリードタイムは長いと思います。それで、御社にとって何が変わったのでしょうか?」

この質問に対してヒギンズ氏は次のように答えている。

「そうですね。この部分を考える最も簡単な方法は、顧客がグリーンフィールド・プロジェクトを計画している施設に関連した注文を出すことだと思います。つまり、スケジュールが注文の原動力になっているわけです。そのため、リードタイム中心ということになっています。」

「その顧客は2025年にオープン予定のプロジェクトを持っています。そして、その開業予定時期にツールが欲しいということで、私たちに注文を出すわけです。多くの場合、中国との取引があり、そのスケジュールと連動した注文や入金があります。そのため、それらが最大の要因です。そして、おっしゃる通り、これは少し新しい現象です。」

「19年から22年にかけて大規模な増産が行われた後、このような状況が見られるようになったと思います。そして各四半期、それはかなり一貫しています。そして、毎四半期、そのバックログの一定量を調整してきました。しかし、それはかなり一貫しており、だいたい50%ほどとなっております。そのため、当四半期では、貸借対照表をご覧いただければお気づきのように、繰延システム売上が少し増加していることがお分かりいただけると思います。これは、先ほどお話ししたような、出荷額が売上高を上回ったことによるものです。それがRPOを押し下げることとなりました。しかし、売上高に対するブック・トゥ・ビルは実際にはプラスでした。」

「しかし、トレンドラインに関しては、ご質問の本質を変えるものではないと思います。12月期は少し良くなり、私たちが考えていたことと一致し、少しプラスとなりました。」

一方で、前四半期の決算説明会では、ヒギンズ氏はこれらの顧客からの前払い金について言及し、その額は約8億ドルにのぼると指摘していた。

「来年を見据えた場合、これらの顧客との契約残は大きな意味を持ち、これらの顧客のために8億ドル以上の手付金を確保しています。そのため、来年に向けてはこうした需要がある程度持続すると期待しています。また、リックが話したようなセグメント全体がそうだと思います。」

しかし、これは、12ヶ月以上滞留している約50億ドルの注文のごく一部である。

その答えに納得がいかなかったのか、アルキュリ氏がフォローアップの質問を下記の通り返している。

「了解しました。確かに上がっていますね。しかし、私が言いたいことは、その利点は何なのかということです。もし私がその顧客で、御社のリードタイムがそれよりもかなり内側にあるとしたら、私が中国の顧客で、御社のバックログにありながら12カ月以上先のものを予約するメリットは何でしょうか?私が心配しているのは輸出管理の問題と、おそらく、私が頭金を支払っているので、その頭金が私にツールを受け取る権利を与えていると考えているからかもしれません。それがそれらの理由の一部でしょうか?私はまだ、なぜ私があなたのリードタイムをはるかに上回るような方法で滞留する必要があるのか理解できていません。」

そして、下記の通り、ヒギンズ氏はまたしても、顧客が必要な時期よりずっと前に注文を出すという現象について説明しようとしている。

「もしあなたが新規の顧客であり、私たちとの新しい関係を持っている場合、信頼性を示すことが重要です。つまり、「私たちはこれを望んでいます。私たちは関与したいと考えています。ファブ(工場)をサポートするためのリソースを配置してほしい」というようなリクエストをする時です。これには時間がかかります。そして、多くの場合、これには注文の一部に対する頭金も含まれます。ですので、要するに、もし新規顧客の一人であれば、自社のファブが開設される際に、これが生産拡大の障害やボトルネックにならないようにしたいと考えるでしょう。」

「また、多くの場合、私たちにとって新しい顧客であれば、そうではありません。あるいは、あなたが知っている顧客は、それほど前から注文を予約しているとは言いません。しかし、私たちが彼らの計画をサポートする用意があることを確認したい顧客もいます。だから、そのような計画について信頼できることを確認するために、私たちに注文を出してくるのです。」

そして、下記のヒギンズ氏への最後の発言においては、アルキュリ氏は納得していないようで、少し皮肉っぽくさえなっている。

「Well, that’s a ton of customers that we actually never heard of before. OK, Bren. Thanks(今まで聞いたこともないようなお客さんばかりだよ。オーケー、ブレン。ありがとう」

このやりとりが私たちの注意を引いたのは、KLACと競合他社との大きな違い、つまり機器のリードタイムを浮き彫りにしているからである。

ツールの性質上、KLACのリードタイムは同業他社よりもはるかに短い。

そして、同社の最も長いリードタイムは、第5世代光学検査ツールのリードタイムで、現在7-9ヶ月である。

この結果、一般的にKLACの顧客は、同業他社の顧客ほど前もって発注する必要がないということになる。

しかし、12カ月枠外の受注が非常に多い(50億ドル相当)という事実は、これらの受注のかなりの部分が、12カ月枠内の受注よりも確定していない可能性が高く、解約の可能性が高いプロジェクトに関するものであることを示唆している。

ただし、私はこの点を過度に誇張するつもりはない。

なぜなら、オーダーブック(注文書)はオーダーブックに過ぎないからである。

しかし、私の直感では、KLACの受注残、特に12ヶ月を超える受注残は、例えばASMLのケースに見られるような強固なものではない。

そのため、KLACはより多くのリスクを抱えており、今後、キャンセル等を経験する可能性が高いと見ている。

今期、このような遅延が1件発生し、その長さは最大1年、金額は約2億ドルに上ったという事実は、この仮説を裏付けるものであると考える。

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アナリスト紹介

William Keatingウィリアム・キーティング
拠点:香港
セクター:半導体・テクノロジー

キーティング氏は、半導体とテクノロジーのリサーチ&コンサルティング会社であるIngenuity (Hong Kong) Ltdの創立者兼CEO。半導体業界において重要性の高いニッチなテーマを専門にする。主に、インテル、AMD、サムスン、アップル、マイクロン等の企業や、ASML、AMAT、キヤノン、ニコンなどの主要機器サプライヤーの製品、ロードマップ、技術に焦点を当てたリサーチ、並びに、コンサルティング・サービスを提供。

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