アーム・ホールディングス / ARM:チップレット・半導体関連成長株の最新の株価分析と今後の見通し – Part 2

Ticker: ARM / 2278文字 / 所要時間5分程度 / 強気 / Convequity – FZCO

サマリー

  • チップレット(Chiplet)技術はアームにエキサイティングな機会をもたらし、その戦略的進化の道を開く可能性があると見ている
  • 一方で、最先端チップの設計にかかる高いコストは、半導体業界の多くのプレーヤーに課題を突きつけている
  • 同社が設計済みCPUダイの提供に乗り出す可能性は、半導体エコシステムにおける同社の地位を再定義する可能性がある

インテルのEMIBソリューションとアームのAI戦略

インテルのEmbedded Multi-die Interconnect Bridge(EMIB)技術は、チップレット設計がもたらす幾つかの課題に対処し、チップレットのモジュール性と効率的なチップ間通信を組み合わせたソリューションを提供する。

一方、アームのAI市場への取り組みはまだまだ進化を続けている。

アームは、AI機能を設計に取り入れることで躍進を遂げたが、AIチップ市場における同社の役割は、NVDAのようにAIを中心とした強固なエコシステムを開発した競合他社ほど顕著ではないのが現状である。

同社がAI分野で重要なプレーヤーになるためには、急速に高まるAIアプリケーションの需要に対応しながら、技術提供の拡大と強化を続ける必要がある。

中国におけるアームの複雑なダイナミクス

ARM Chinaを通したアームの中国でのベンチャー事業は、合弁事業の構造と中国市場での事業展開に特有の課題により、複雑な状況を呈している。

それらに加えて、ソフトバンクの所有権と経営スタイルに影響されるガバナンスの問題が、さらに同社のビジネス上のオペレーションの複雑さを増している。

同社が、中国での事業に対する支配力と影響力を維持しながら、これらの課題を乗り切ることができるかは、世界最大のテクノロジー市場の1つである中国での長期的な成功にとって極めて重要である。

ARM Chinaの一部は中国の投資家によって所有されているため、同社はこの重要な市場での事業を完全にコントロールすることはできていない。

このような状況では、ARM Chinaの事業をアームのグローバル戦略と整合させながら、現地の市場力学と規制環境を尊重するために、慎重にバランスを取る必要がある。

※PRC = People’s Republic of China = 中華人民共和国

アームの経営陣と報酬に関して

CEOのレネ・ハースやCFOのジェイソン・チャイルドをはじめとするアームの経営陣チームは、会社の戦略的方向性を推進し、急速に進化する業界において競争力を維持する上で、独自の課題に直面している。

ソフトバンクの株主構成に起因する株式インセンティブ不足は、アームがイノベーションを推進し、競争力を維持するために不可欠な優秀な人材を引き付け、維持する能力にリスクをもたらしている。

この問題に対処することは、同社の長期的な成功にとって極めて重要であると考える。

同社は、今後も業界での地位を向上していくためには、最高の人材を引き付け、そして従業員の意欲を高め、維持し続けることができるようにする必要があるからである。

アームの経営効率とバリュエーションの展望

業務効率と利益率

アームの将来は、買収後の経営効率とEBITDAマージンの改善にかかっている。

研究開発費の増加にもかかわらず、同社のエンジニアリング部門には非効率性があるが、レイオフは行われていない。

コスト削減の主な対象は非エンジニアリング部門、特に業績不振の営業・マーケティング部門である。

ソフトバンクによる影響

ソフトバンクの支援を受けた企業は、効率よりも成長を優先し、拡張的な構造を持つことが多い。

最近の市場の変化により、アームは利益率の回復を目指し、戦略的な軸足を移す可能性があるが、具体的な詳細は不明である。

その為、市場の投資家やアナリストは今後の動向を注視している。

バリュエーション

前述の要因を考慮すると、現在のアームのEV/売上高倍率は10倍が妥当と思われる。

同社が10%以上の成長と40%以上のEBITDAマージンを達成すれば、より高いEV/売上高倍率が正当化されるかもしれないが、それは不確実である。

マクロ経済の課題

市場の脆弱性とソフトバンクの流動性に関する問題は、アーム株の早期売却を促す可能性がある。

一方で、アームとつながりのあるアンカー投資家は、2-3年ポジションを保有する可能性がある。

投資家は、ロックアップ期間終了後の機会を待つべきである。

アームのバリュエーションがEV/売上高倍率の10倍を下回れば、成長ポテンシャルとマージンの拡大により、魅力的な投資先となる可能性があると見ている。

アームの将来に対する投資家の視点

投資家の視点から見ると、RISC-Vのようなアーキテクチャとの競争に直面し、業界の力学が変化しているにもかかわらず、半導体業界におけるアームの地位は依然として強固である。

特にAIやサーバーCPUなどの新興市場において潜在的な成長機会があることから、投資家にとって注目すべき企業であると見ている。

しかし、投資家は同社の戦略的動き、市場動向、変化する業界需要への適応能力を注意深く監視する必要がある。

私達としては、同社の新技術への進出、中国などの主要市場における戦略的位置付け、業界の変化に対応するイノベーション能力などの要素が、同社の将来の成功を決定する重要な要因となるだろう。

結論

半導体業界が進化を続ける中、この変革におけるアームの役割は極めて重要である。

チップレット技術の採用、AI市場における同社の戦略的位置付け、中国のような複雑な市場力学を乗り切る能力が、同社の将来を形作るだろうと見ている。

また、特に人材の確保とイノベーションに関するリーダーシップの決定も、同社の軌跡を決定する上で重要な役割を果たすだろう。

投資家や業界のオブザーバーにとって、同社の歩みは、テクノロジー、戦略、市場力学が交差する興味深いケーススタディとなると見ている。

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アナリスト紹介

Convequity – FZCO / コンヴェクィティ
拠点:イギリス / アラブ首長国連邦(UAE)
セクター:テクノロジー

2019年に設立されたConvequityは、サイバーセキュリティ、SaaSを含むエンタープライズ(企業)向けテクノロジーを扱うテック企業に関するエクイティ・リサーチを提供。セールス・チャネルや対象企業の経営陣との関係に依存する投資銀行や証券会社のアナリストとは異なり、Convequityは対象企業のプロダクト、アーキテクチャー、ビジョンを深掘りすることで投資家に有益な情報を提供することに努めている。特に、Convequityは、第一線で活躍する企業や イノベーションをリードするスタートアップ企業を含め、テクノロジー業界を幅広くカバーすることで、投資家のビジビリティと長期的なアルファの向上に努めている。

ジョーダン・ランバート CFA / LinkedIn

長年にわたるハイテク投資家であり、テクノロジー関連銘柄、および、株式リサーチとバリュエーションのニュアンスに特別な関心を持つ。CFA取得後、自身のソフトウェア、株式リサーチ、並びに、株式投資へのパッションを下に、2019年10月にConvequityを設立。新たなテクノロジー業界におけるトレンドと長期的に成功する可能性が高い企業を見極めることを得意としている。

サイモン・ヒー / LinkedIn

10年以上に渡りテクノロジーのあらゆる側面をカバーしてきた経験を生かし、テクノロジー起業への投資における、勝者と敗者を見極める鋭い洞察力を持つ。彼のテクノロジーに関するノウハウは、ビジネス戦略や財務分析への理解と相まって、Convequityの投資リサーチに反映されている。Convequityを設立する前は、オンラインITフォーラムでコミュニティ・マネージャーを務め、ネットワーク・セキュリティの業務に従事。ユニバーシティ・カレッジ・ダブリンで商学士号を取得。

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